みなさんこんばんは。
漢方薬剤師の原明奈です。
本日は最近女性にもよく使うようになってきた漢方薬のご紹介です。
とくに男性なみにバリバリ働く方に使う印象があります。
私はこの漢方薬で、ストレス性の脱毛、歯ぎしり、生理不順の患者さんを良くしてきました♪
抑肝散(よくかんさん)
こんな症状の方に
神経症、更年期障害、不眠、歯ぎしり、頭痛、小児の夜泣き、疳の虫など
この漢方薬の構成
- 釣藤鈎:興奮をしずめる
- 柴胡:自律神経のバランスをととのえる
- 当帰・川芎:血行を良くする、身体に栄養をつける
- 茯苓・白朮・甘草:胃腸機能を整える
キーとなる生薬「釣藤鈎(ちょうとうこう)」はカギカズラのトゲのこと。
トゲを使う生薬は他には聞いたことありません。めずらしい部位です。
この漢方薬のはたらき
もともと小児の興奮する症状(夜泣き、疳の虫)を改善するために作られた漢方薬です。
これを応用し、大人でもイライラして気持ちが落ち着かない時、興奮してうまく眠れない時など自律神経系の不調を緩和させるために使います。
抑肝散というネーミングですが、東洋医学では「肝」というと肝臓の意味だけではなく感情のコントロールもしています。抑肝散は「肝の高ぶりを抑える」という意味が込められています。
イライラですが、以前もご紹介しました加味逍遙散も同じくイライラに使う漢方薬です。
どう違うの?ということですが中身はとても良く似ています。
使い分けをご紹介します。
加味逍遙散はイライラするとすぐに他のひとにぶつけることがあり、実はある程度発散できているタイプ。
抑肝散は他の人にはなるべく迷惑かけないように…と爆発寸前までイライラをため込んでしまうタイプです。
なので怒りの程度としては抑肝散の方が強いです。
あとはほてりがある方は冷やす生薬が入る加味逍遙散がおすすめです。
バリバリ働く女性は自分の中でイライラを解消しようとしてしまうため、抑肝散タイプの方が多くなりますね。
ご自身はどちらが当てはまりますか?
抑肝散加芍薬黄連(よっかんさんかしゃくやくおうれん)
抑肝散に「芍薬」と「黄連」が加わったこちらの処方。
ドラッグストアでの販売はありますが、医師での処方はないというちょっと珍しい漢方薬です。
イライラしていると筋肉が緊張し硬くなってしまうのと、身体がほてるのでそこを少しさます働きがプラスされます。
芍薬(薬用部位:根)
黄連(薬用部位:根)
抑肝散のドリンク
アロパノールは商品名で、中身は抑肝散になります。
ドリンクタイプの発売されていますよ!
受験や告白するときなど、ここぞというときに♡
いかがでしたでしょうか。
「些細なことでイライラしてしまうときの漢方薬「抑肝散(よくかんさん)」をお送りしました。
感情をコントロールできないときはしばらく漢方薬の力も借りてみてくださいね。
それではみなさま、明日もご自身をいたわって健康でありますように。
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