みなさんこんばんは。
漢方薬剤師の原明奈です。
漢方薬は飲み薬だけだと思っていませんか?
実はぬり薬もあるんです。
病院でもらうぬり薬とは違い、漢方の軟膏は天然成分のみで作られています。
安心して使えますね。
目次
漢方のぬり薬に共通のこと
漢方のぬり薬は化学合成の薬品は不使用です。
ステロイドは一切入っていません。
そもそもこの漢方のぬり薬が出来たときには合成のものはなかった時代です。
ぬり薬として塗るためのベースとなるもの(基材)は「ミツロウ」と「ごま油」が使われています。
ミツロウとは?その役割
ミツバチの巣からはちみつをとったあと、残るものに熱を加え採取した天然のワックスになります。
ミツロウは世界中で古くからハンドクリームやリップなどに使われているので、安心かつ保湿力が高いんです。
ごま油の役割
ごま油といったら日本では食事でちょっと香りを出したい料理に使いますよね。
実はごま油には高い保湿性と強い抗酸化作用がありますので、肌の老化を防ぐオイルとしても優秀なんです。
インドの伝統医学である「アーユルヴェーダ」ではマッサージオイルとして使われています。
むらさき色のぬり薬 ~紫雲膏~
漢方薬のぬり薬で紫雲膏(しうんこう)というのがあります。
こんな感じの赤紫色の軟膏です。着色していません。植物「ムラサキ」の天然の色になります。
うるおす力が強く、秋から冬のカサカサ肌にとってもおすすめです。
紫雲膏(しうんこう)には何が入っているの?
紫雲膏には「ミツロウ」「ごま油」のほか、肌の再生を促す「紫根(シコン)」と血液の巡りを良くして温めるはたらきのある「当帰(トウキ)」の植物エキス、保湿力を高める豚脂(ラード)が入っています。
▼植物「ムラサキ」の根が紫根(シコン)です。
絶滅危惧種にも指定されている植物であり、レッドデータブックIBにランクされています。
▼紫根(シコン)
古くから紫色の染料として用いられてきました。
口から飲む漢方にも使うことがありますが、こちらを調剤していると手が紫色になるんですよ。
とっても鮮やかな色です。
紫雲膏(しうんこう)はどんなときに使う?
◆切り傷に
例えば紙や包丁とかで思いがけず、切り傷を負ってしまったとき。
すぐにこの軟膏をたっぷりつけて絆創膏などで保護してください。
そうすると痛みが引き、治りが早くなります。
◆ひび、しもやけに
手のカサカサやしもやけに。ハンドクリームの代わりとして薄く塗り広げ、できれば手袋でおおいそのままお休みください。翌日にはその修復力にびっくりするかもしれません。
◆ニキビ跡の予防に
治りつつあるニキビに塗ると、ニキビ跡がシミになるのを防ぐことができます。
◆痔による痛みに
痔の部分にぬり、ガーゼやナプキンをあてて保護してください。
紫雲膏(しうんこう)を使う時に気を付けること。
1つめの注意点:ぬるところがジュクジュクと膿がある、赤くはれているときには控えます。
2つめの注意点:このぬりぐすりは紫色をしています。服についてしまうのと取れにくいです。ぬるときはうすーくぬり広げるか、手袋などカバーをしましょう。
いかがでしたでしょうか。
「肌再生をうながす漢方のぬり薬「紫雲膏」切り傷・カサカサ・冷えにも」をご紹介いたしました。
伝統的な漢方薬に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
和漢の力を上手に取り入れて毎日をたのしく過ごしましょう。