漢方

漢方薬を食前・食間に飲むことはどれだけ大事?

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みなさんこんばんは。

漢方薬剤師のmyuです。

みなさんは漢方薬(粉薬でも煎じ薬でも)を飲むとき、薬剤師か医師の先生から

「漢方薬は食前か食間のお腹のすいたときに飲んでくださいね」

「胃に食べ物が入ってない時の方が吸収が良くなるんですよ」

と言われると思います。ドラッグストアで買う時も箱に書いてありますよね。

薬は食後に飲むことに慣れている方が多いので、不思議だなと思うかもしれません。

この部分について解説いたします。

 

漢方薬を食前・食間に飲むことはどれだけ大事?

結論からいいますね。

出来ればお腹のすいたときに飲んでいただいて、忘れてしまったら食後で大丈夫です。

とくに地黄(ジオウ)や当帰(トウキ)が入ったものは胃がもたれてしまうことがあります。

その場合はすべて食後にしてしまって大丈夫です。

1日量をしっかり飲めることを優先してください。

 

漢方薬の古典にはどう書いてある?

実は漢方薬は古典によると、方剤によって飲む回数、タイミング、飲み方が違います

でもひとつひとつ飲み方を変えて飲んでいただくのは難しいです。

中にはお酒で飲むというものもあります。今では薬をお酒で飲むなんて考えられないですね。

食前食間に飲むときと、食後に飲むときでどう効果が違うかという検討を行ったものは残念ながらありません。

とある文献で患者さんに検討したところ特に変化はなかったというものはありますが、医師の主観がはいっちゃっているところがあります。(新薬と臨床56(12)2034-2038,2007)

 

漢方薬の飲み方についての考察あれこれ

漢方薬の飲み方の文献はいくつかあります。

そこから気になる部分を抜粋して書いておきます。

すこし難しくなりますがご参考になりましたら嬉しいです。

①アルカロイド含有のもの。(附子や麻黄など)

薬の吸収には「pH分配仮説」というのがあります。アルカロイド含有の生薬を配合した製剤(とくに附子・麻黄)は空腹時の方が吸収が遅く安全であるとされています。空腹時は胃内pHが低下し、アルカロイドの水可溶性が増し吸収率が低下するためです。(薬局48(7),1065-1072,1997)

②香りの成分(精油)が多いもの。(薄荷や陳皮など)

精油が多いものはこの香りも働きの一つとなっています。精油成分の多くは消化管運動を亢進させ、胃酸分泌を促進し胃内pHが下がります。食欲を亢進させるような目的の漢方薬はしっかり香りをかぎながら飲みましょう。エキス剤はお湯に溶かすのがおすすめです。(薬事新報2524,479-482,2008)

③カルシウム、マグネシウムなどを成分にするもの。(牡蛎、竜骨、石膏、滑石)

胃酸分泌を抑える働きを期待するなどイオンの状態で働かせたい場合、食前の方が胃内pHが下がるので食前がおすすめです。(薬事新報2524,479-482,2008)

④腸内細菌の状況により吸収効率が変わる。

以前、腸内細菌を整えると漢方薬がちゃんと効くようになるという講演をききました。こちら。文献にも抗菌剤を使った方に芍薬甘草湯を飲んでもらう時は、腸内細菌が抗菌剤中止とともに増えて吸収率が一気に上がるのを考慮し用量を決めているというのがあります。(Prog.Med.779-782,1998)

 

いかがでしたでしょうか。

「漢方薬を食前・食間に飲むことはどれだけ大事?」をお送りしました。

あまり神経質にならずに、しっかり飲める方を優先していただければと思います。

 

それではみなさま、明日もご自身をいたわって健康でありますように。

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