みなさんこんばんは。
漢方薬剤師のmyuです。
漢方薬局は今の時期、お屠蘇を作るため「屠蘇散」を買いに来られる方がいます。
お屠蘇は元旦に飲むことで一年の邪気を払い、寿命を延ばすという祝い酒です。
本日はこのお屠蘇についてご紹介いたします。
お屠蘇とは
お屠蘇とはお正月三が日に親族であいさつを交わしたあと、家族が1年間健康に過ごせるように願い飲むお酒の事です。
「屠蘇」の「屠」は「屠(ほふ)る」、「蘇」は「病をもたらす鬼」という意味で、すなわち鬼退治。
あるいは「屠」は「邪気を払う」、「蘇」は「魂を目覚め蘇らせる」という意味にとるなど、微妙に違う解釈がいくつかあるようです。
平安朝時代に唐から日本に伝わり、皇室の大切な儀式として始まりました。
それが一般にも知られるに従い、長寿と一年間の健康を祈願するお正月の儀式として日本全国に広まったとされています。
お屠蘇の中身はどういうの?
お屠蘇は10種類ほどの生薬を酒やみりんで一晩つけた薬草酒。
下の写真のように小さい和紙の中に生薬を細かくしたものが調合されています。
この1包を本みりんか日本酒に大晦日の晩からお正月にかけて数時間程浸します。
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10種類程度生薬が入るのですが、これは地域により中身が少し違うようです。
一般的に入るものとしては
- 山椒(さんしょう)
- 細辛(さいしん)
- 防風(ぼうふう)
- 桂皮(けいひ)
- 乾姜(かんきょう)
- 白朮(びゃくじゅつ)
- 桔梗(ききょう)
- 陳皮(ちんぴ)
お屠蘇の効果は、胃の調子を整える、身体をあたためる、風邪予防など。
一般的な漢方薬は20gくらいの生薬量が入りますがこちらは合わせて2g程度です。
1/10程度の量なので、効果を期待するというよりはお祝いの意味合いが強くなりますよ。
お屠蘇の正しい飲み方
お屠蘇を飲む際は三つ組の杯を使って飲むのが正しい飲み方です。
この3つの杯は『屠蘇三献』と言い1人ずつ上から順番に杯を取って、それぞれを1回ずつの合計3回飲むのがしきたりです。
下の写真が屠蘇器です。
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元日になってお祝いの膳の用意が出来たら、家の主人の音頭であいさつを交わしそれから頂きます。
そして、若い人から順番に飲むのもお屠蘇のしきたりです。
ちなみに、お屠蘇には肴(さかな)がないのが正式な飲み方です。
料理が出ていても全員が飲み終わるまでは食べてはいけないようですよ。
いかがでしたでしょうか。
「お正月はみんなでお屠蘇(おとそ)。一年健康でいられますように。」をお送りしました。
来年は日本伝統のしきたりで一年の健康を祈願してはいかがでしょうか。