みなさんこんばんは。
漢方薬剤師の原明奈です。
今回は漢方薬を始めてみたいなと思う方から、本当に沢山いただく質問にお答えしたいと思います。
漢方薬は長く飲まないと効果がないのですか。
この質問ははっきりとお答えするのが難しいのですが
長くかかる場合もありますが、短い場合もあります。というのが正直なところです。
しかしそれだけだと腑に落ちないと思いますので
ご自身の症状が出てからの期間が短いほど、早くなおる傾向にあります。とお答えしています。
例えば風邪。
漢方薬を飲んで数分たてば身体がポカポカしてきて汗が出て数時間で熱がさがる。
しっかり合ったものを飲めば西洋薬の解熱剤を飲むよりも早く効果が出るんですよ。
じゃあ急性期のもの(風邪など)しか早く治らないの?
と言われそうなのですが実は漢方の古典を読んでいると
「今まで何十年もその症状で悩んだ方が数日漢方薬を飲んだだけですっかり治ってしまった。」
という経験談がたくさん載っております。
何十年も症状が出ていたとしてもドンピシャで合うと短いことがありますね。
ただ一般的には2~3か月は飲んでいただくことが多いです。
しかし数日~数週間くらいから「いつもより体が疲れにくくなった。」「良く眠れるようになった。」
など何かしらの改善がみられてくることが多いですよ。
その症状がなぜ起こっているかによっても治り方が違います。
その症状が生活習慣によるものであったり家族間のトラブルであったりする場合、
そこが改善されないと治るのは時間がかかります。
そして症状が良くなってきても飲むのをやめるとまた出てきてしまいます。
漢方薬は体のバランスを取り戻すために力を貸してくれるものなので、ご自身でも環境を変えていく努力は必要です。
標治と本治という考え方
もう少し具体的なところをお話しますと漢方では「標治と本治」というのがあります。
今起こっている症状を治すのが標治、その症状が起こった原因を考え体質改善をしていくのが本治です。
例えばアトピー性皮膚炎でかゆみが強い方。
まずは一番お困りの「かゆみ」にフォーカスした漢方薬を使います。
そのあとでかゆみが一段落したら、アトピー自体が起こりにくいような体質へもっていく漢方薬を使います。
最初の標治にはそれほど時間がかからない(数週間程度)ことが多く、本治になると数か月単位で時間がかかります。
いかがでしたでしょうか。
「漢方薬は長く飲まないと効果がないのですか。」をご紹介しました。
症状でお悩みの期間が長いほど改善に時間がかかる可能性がありますし、体質改善にも時間がかかります。
その反面、風邪や一時的に出た強い症状などは比較的はやく改善します。
それではみなさま、明日もご自身をいたわって健康でありますように。